医療法人社団 正仁会
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INDEX » 当院の紹介・歴史と理念・これまでのあゆみ » 明石土山病院における阪神・淡路大震災後の入院状況

 当院は先般の大震災で被災はしたものの、幸いにして被害はごく軽微であり、震災当日より病院としての機能を開始する事が出来た。

震災後、緊急に入院を要する患者が増加した為、当院では、日本精神病院協会により、全国から精神保健指定医1名、看護婦(士)2名を概ね2泊3日で派遣してもらい平成7年2月6日より24時間精神科救急臨時基幹病院として3月31日まで機能した。

地震発生時より平成7年3月31日までの入院患者は86例であり、これは例年の約2倍の数であった。

このうち震災との関連があって入院が必要となった患者は60例(60.7%)であった。

震災と関連のあると思われた患者について

震災と関連があると考えられた患者は、第1週8例、第2週17例と震災後2週間がもっとも多かったが、3月(第7週)に入り再び増加が見られた(図1)。男性は32例(53.3%),女性は28例(46.6%)と性別による違いはほとんど見られなかった。

年齢別

各年齢に広く分布しているが、20才代11例(18.3%)、50才代12例(20.0%)、60才代12例(20.0%)がやや多かった。

初発例

初発は12例(20.0%)であった、以下に簡単に紹介する。

  • 震災で家屋が全壊し、不安焦燥が出現した76才の女性。
  • 震災翌日に全生活史健忘をきたしているところを発見された24才の女性。
  • 災外復旧のため不眠不休がつづき、そう状態になッた33才の男性。
  • 東京からボランティアとして来て、そう状態になッた33才の男性。
  • 避難所生活で飲酒不可となり、アルコール性せん妄をきたした59才の男性。
  • 昏迷状態で転院してきたが、挫滅症候群であり透析を必要とした62才の女性。
  • 被災後1ヵ月以上して、公園で保護された全生活史健忘の59才の男性。
  • 震災後、急に幻聴が出現した43才の男性。
  • 単身者で被災後2カ月間食事等に不自由し、よくうつ状態になった68才の男性。
  • 単身者で仕事がなく、避難所にいたがそう状態になった63才の男性。
  • 銀行員で配置転換後、仕事につかれ、幻覚妄想状態で発見された27才の女性。
  • 震災後、そう状態となり、家庭内暴力も出現した53才の男性。

現在は3月末までに入院したほとんどの患者さんは退院し、当院の外来や他の医療機関の外来に通院をされている。平成7年9月現在、震災関連の入院患者は見られなくなったが、外来では災害後、数週から数カ月の潜伏期間をおいて発症するといわれる、 PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者さんが増加しており、今後もメンタルケアが重要になってくると思われる。

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