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統合失調症という病気について2

医師 山本 康二

前回から統合失調症について、精神科に通院されている多くの患者さんがこの病気と闘い、薬などを使って治療し、そして病気を持ちながらも一生懸命頑張って生活していることを書かせていただいています。

第二回は、どれくらい、どんな症状が出てくるのかについてご説明します。

1. どんな症状で患者さんが苦しんでいるか?

前回に書いた、物音や人の声に敏感になる、物事を考えようと思ってもうまく頭が働かない感じがする、自然に笑ったり喜んだりできなくなる、服装や身だしなみが気にならなくなる、その他不眠、食欲低下、頭痛などの症状は、前駆症状とも言われています。

こういった“はっきりとしないしんどい状態”の後に、初期症状といわれるものが出てくることが多いようです。

統計的に多く出てくる症状を説明します。

  1. 頭の中に昔の場面がよく浮かぶ。(約8割)
    昔の場面が、誰が何を話していたかまで頭の中に浮かんでくる。
  2. 周りの人が見ている、自分について話している。(約6割)
    何となく周囲の人が、知らない人でも自分を見て、自分について話している感じがする。
  3. いろいろな考えが勝手に出てくる。(約5割)
    自分で意識して考えていることと無関係な考えがどんどん押し寄せて、頭がごちゃごちゃになる。
  4. 音楽が頭の中に鳴り響く。(約5割)
    知っている歌やコマーシャルが急に聞こえたり、同じところだけずっと続いたりする。
  5. 日頃わかっていた人の会話が分からない。(約4割)
    人の話を聞いても別の国の言葉のように聞こえ、意味が分からず理解できない。

統計で多いといわれる症状を説明しました。

それ以外でも

  • 体がふわふわ浮きあがった感じがする。
  • 周囲の人や物、自分自身がここにいない感じがする。
  • 何かが差し迫ったようで気持ちが落ち着かない。

など。

こういった症状が、3,4個一緒に出てくることが多く、患者さんは自分でも「変だな」と思っていることが多いようです。しかし、人に相談しようにもうまく言葉にできなく途方に暮れてしまうようです。

2.ではどうしたらいいか?

まず、周りにいる家族や友人を信頼して、うまく相談できなくてもきっと理解してくれると考えてください。そして、こういったことで苦しんでいるのだと伝えてください。

また、この段階で診察に来られた場合、早期の治療が可能となり、その後のしんどい期間も短くすることができるといわれていますし、入院のリスクも低くなります。

今回のまとめ

  • 前駆症状の後に初期の症状が出現します。
  • 自分でも「おかしいな?」と感じることが多いようです。
  • 周りの人たちを信頼して、理解してくれると考え思い切って打ち明けてください。
  • できるだけ早く診察を受けてください。早期治療がその後のリスクを下げてくれます。

次回は、治療法を中心にお話します。

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