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ごあいさつ

理事長・院長 太田 正幸


 先日に東京の会議に出席してきましたが、その時に日本精神科病院協会副会長から、厚生労働省が精神科病院のベッドの一部を施設に転換する考えである事を聞きました。これは十数年前から言われていて、厚生労働省は7万床の精神科のベッドを減少させる意向で、最初は自立支援法という法律に基づいた、みどり寮やマックナイトホーム等の社会復帰施設に補助金を付けて推進しましたが、今年から体制が変わり当該施設からの収入があまり見込めなくなりました。新たに作る人も減少しますので、その代わりベッドを施設に転換するという方針が、いよいよ本決まりになった様です。私もそれは非常に大事だと思います。今の5-1病棟を見ていると早い方は1ヶ月程度で退院されますし、3ヶ月以内に退院される方が約7割おられます。当たり前ですが病院としての機能を備えた物が「病院」でして、ただ、当院の社会復帰施設に移って頂いても、どうしても難しくて病棟に帰って来られる方もおられるので、病棟の様な施設を作るのが良いと私は思っています。

 米国にナーシングホームというものがあります。カリフォルニア州の例では100人の閉鎖病棟で、ナーシングホームという名称から看護師が多数おられるかと思えば4、5人しかおらず、後は看護助手であり、医師は嘱託で月に1度やってきて100人分の処方を切って帰るという、そういった無茶な事が今なされています。米国の入院は民間の保険会社が入院の必要性や週数を決めているのでが、統合失調症はなんと1週間、うつ病は2週間と決まっていまして、来日される先生方に1週間で統合失調症が、入院を要さない場合は良くなるでしょうが、入院を必要とする方が治るのかと幾度と尋ねてみましたが、まだまだ全然治っておらず、ナーシングホームに移り月に一度 の処方を切るだけです。それは、私は絶対にしてはいけない、と思っています。

 10年程前でしょうか、当院は400床程ありますが、ある高名な小説家の先生に「私は400床も要らない。大体300床程で良く、それを機能分化すべきである」と申し上げて、それが本になって残っています。その様に常々思っていましたので、厚生労働省の動きは良い傾向だと思っています。実際、旧2病棟と言われた現在の3-1病棟は北と南を統合してパーティションを取り除き、デイルームが本当にゆったりとしました。アメニティー空間が非常に広いというのは人間でも動物でも非常に大事な事です。自分の縄張りを広く持つのが大事で、喧嘩などになり難いのです。女子病棟ですので元々そんなに喧嘩があったわけではありませんが、上階の3-2北南の男子病棟もそのようにできないかと考えています。

 今の5号館は2階、及び3階に病棟を作る予定です。私が是非とも欲しいと思う病棟が2つあります。1つは身体合併症病棟。高齢な方の入院が増えていますので、肺炎をはじめ様々な合併症に対応した病棟です。それと、うつ病の方が非常に増えていますので、そういった方々に静養して頂く、このような名前はありませんが「静養病棟」の2つです。そして3-2病棟を1つにして広々とした療養病棟にしたい。将来的にはそこを施設にして、ずっと入院するに至らないけれども社会復帰施設では厳しい方々に使って頂く、そんな体制に持っていきたいと思っています。

 また、今年の2月に急性期病棟に指定された5-1病棟で、急性期病棟に患者16人に対し医師を1人配置しますと加算できる「医師配置加算(16:1)」というものを7月の半ばに許可を得まして、1日から加算可能となりました。ただ、昨日に兵庫県精神科病院協会と神戸大学の先生方との話し合いがあったのですが、1、2週間で退院させてしまった方が自殺をして訴訟になったケースもあるという事でした。どうしても1、2週間で退院したい、保護者も退院させたいと仰ったら仕方がないのですが、うつ病は大体2か月、できたら3ヶ月の静養を要しますので、その辺りは気をつけて頂きたいと思います。

 今年は冷夏だと春頃から言われていましたが猛暑になりました。皆さんも熱中症に気をつけて、水と塩気を取り、更にご飯も一緒に食べて栄養をつけて頑張って頂けたらと思います。

 以上です。

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