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21世紀の精神科医療とは

理事長・院長 太田 正幸

21世紀の精神科医療を語る前に、我が国における精神科医療および精神科病院の変遷を知っておく必要がある。昭和31年11月1日明石土山病院は開業した。精神科病院は医療と保護の役割をになっていると言われるが、その当時の精神科医療は誠に貧弱なものであり、精神科病院は主に他害や自傷の恐れのある人たちの保護を中心としていた。

以来57年がすぎ、精神科医療は薬物療法・カウンセリング・作業療法・看護技術の向上、社会復帰システムの充実も含めて飛躍的な進歩を遂げた。

1990年代初頭、私は日本精神科病院協会の学会で「21世紀における精神科病院のあり方」というシンポジュームで「21世紀におけるキーワードは少子・高齢化である」という発表を行った。

21世紀になって、約12年が過ぎたが、この当たり前の事実はその通りになっている。

加えて、先に述べた治療や社会復帰システムの飛躍的な向上があり、外来治療は必要でも入院治療は必要でない患者様が増加してきている。また、入院治療が必要でも、3か月以内で退院可能となる方々が増加している。

もはや、明石土山病院のように403床ものベッドはその役割を終えつつある。私は、理想的にいえば精神科の病床は、精神科病院と‘精神保健施設(仮)’に分かれていくべきだと常々考えてきた。精神科病床は長年医師数に関しては患者様48名に対して1名という特例があり、精神科の入院費用は低く抑えられてきていたが、厚生労働省は、1病棟でも、一般病院並みに、患者様16名に対し1名の医師を配置し、3か月以内に退院するような病棟を作れば、点数を引き上げるという案を提示している。医師数が増加すれば、治療はより濃厚なものになり、入院日数を削減できるので、結果として、患者様やそのご家族には経済的負担をお願いしなくてもよいこととなる。

私は、「医療機関や福祉施設は患者様、利用者様及びご家族様の為にある」という考え方のもと経営と医療を行ってきた。今後も患者様、利用者様及びご家族様の為、精一杯努力を傾注していきたい。

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