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創立50周年を迎えて

理事長・院長 太田 正幸

昨年11月1日に創立50周年を迎えました。

この50年、太田正氣、中野良男、柴田理事達が中心となって作り上げたものでした。当時は患者様も職員も若かったものですから、ソフトボール大会、園芸、養鶏等、昔の作業療法が盛んに行われていました。私が継いだ20年前は、その作業療法は患者様職員も年をとり廃れてきておりました。

私には精神科病院の新しい方向性として患者様の社会復帰に力を入れていかなくてはならないという気持ちが当時から非常に強くありました。まず職員宿舎を改装して3室のグループホームを作りました。いまでこそグループホームは法制化されておりますが当時はまったく法制化などされていませんでした。院内のグループホームでしたので、「開放病棟とどう違うのか?」と批判の声もありましたが、入所されていたある患者様が自立し、旅行まで行けるようになられた時には強く感動致しました。実はその患者様には身寄りがありませんでした。また入院されていた時は、粗暴行為が絶えない大変難しい方でした。10年以上入院生活を送られたと思います。その患者様が既に多くの国を旅し、廊下で私とすれ違った時には、「先生、どこか良いところ(海外)ないか知りませんか。」と声を掛けられるぐらいまでに回復されたのです。旅行というのは見知らぬ方々と多く接触をしますので十分な社会復帰といえるでしょう。長く入院されていた方々にとって、すぐに社会復帰は大変難しいものであり、そのための中間施設が必要であると、このグループホームにより強く感じることができました。

つぎに、太田正氣記念館を建てたことが大きく影響をあたえました。デイケア・作業療法発展の一環として利用してもらうために建築いたしました。これが功を奏し、患者様がソフトバレーボール大会で一位をとるまでの力をつけ、今年、当院のチームが兵庫県代表として活躍しました。

当時にくらべ、多くの新しい向精神病薬で救われた人たちが沢山おられます。これからも多くの新薬が出て来るでしょう。今まで病棟から出られなかった患者様も外出できる可能性が十分にあります。その可能性を信じて私たち精神科医療に携わる者として患者様たちを治療し、お世話をしていかなくてはならない。それが50年終始一貫貫いた理念であります。

この先10年20年、50年私たちの病院は地域の中核病院として、子供からお年寄りまでメンタルケアにあたっていきたいと思います。これからも、全職員力を合わせ、より良い精神科医療を提供して参りたいと思います。また、これまでお世話になった方々に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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